日本温泉地域学会 設立趣意書

平成15年3月1日

 今、日本の温泉地が温泉資源と観光経営の両面から、大きな岐路に直面しています。

 日本は確かに世界に冠たる温泉国であり、その温泉資源や観光経済上のスケールは、世界の温泉地の比ではありません。

 しかしながら、これまでに天与の貴重な温泉を、果たして適 正に利用してきたのか、温泉観光業経営上無理はなかったのか、入湯客に十二分の満足を 与えてきたのか、温泉地の町並みは心から癒される空間であったのか、さらに今後の持続可能な温泉地のあり方について総合的な視点から議論がなされてきたのか等々、はなはだ 疑問を禁じえません。
 私は過去40年にわたって、日本の温泉地の発達や観光産業・入湯客の実態を調査研究し、 より良い温泉地づくりの参考になればと思い、一般誌や各種の講演を通じて提言してきま した。

 しかし、一般論としての温泉地のあり方は理解できても、各温泉地の地域的特性を 活かした具体的活性策や何から手をつけたら良いのかまでは、浸透しませんでした。

 とはいえ、温泉地の理念を踏まえた地域リーダーの主導性のもとに、温泉地をあげて地域おこ しを実践している温泉地では、不況の現在でも大きく発展していることは周知の事実です。
 これまで、温泉関係の学会としては医学・地球科学・工学など自然科学の分野のものが ありますが、温泉地の歴史・地理・文学・社会・経済・経営・計画・環境保全など、主に人 文・社会経済現象を包括し、かつ社会に向かってその成果を提示して、より良い温泉地域 社会の形成につなげようというものはありませんでした。

 つい先日の2月14日(金)、午後7時30分からNHK総合テレビで関東甲信越地方向けに「特報首都圏その温泉はホンモノですかー始まる温泉表示制度」が放映されましたが、 浴槽での温泉の利用ひとつとっても、社会科学と自然科学の両面から解決すべき多くの課 題が山積していることを痛感しました。
 ここに、私は研究者のための研究発表の場としての学会ではなく、社会に貢献できる学会の必要性を感じ、研究者のほかにも温泉関係の業者や行政・団体関係者、温泉地づくりに 関心のある前向きの姿勢をもった一般市民等の参加を広く募り、自由な議論と情報交換ができる「日本温泉地域学会」を設立することにいたしました。

 すでに、知人である温泉研究者や温泉地活性化に尽力されている地域リーダー・温泉旅館業者、行政・団体関係者、 一般市民などからご賛同とご支援の承諾をいただいています。

 別紙に、本研究会の概要を 記しますので、多くの方々のご参加をお願い申し上げます。

千葉大学教育学部地理学研究室
同大学院自然科学研究科地理環境学研究室
教授 山村順次


役員

役員任期:2021(令和3)年11月28日~2024(令和6)年春季大会総会
名誉副会長長島 秀行 (東京理科大学名誉教授)
会長石川 理夫 (温泉評論家)
副会長池永 正人 (長崎国際大学)
理事長布山 裕一 (流通経済大学)
常務理事内田  彩 (東洋大学)
斉藤 雅樹 (東海大学)
西村 理恵 (温泉ライター)
理事赤池 勇治 (静岡県庁)
小堀 貴亮 (杏林大学)
清水 恵介 (日本大学)
鈴木  晶 (別府大学)
高橋 陽一 (宮城学院女子大学)
高柳 友彦 (一橋大学)
谷口 清和 (温泉地活性化研究会)
徳永 昭行 (長野市開発公社)
中山 昭則 (別府大学)
能津 和雄 (東海大学)
浜田 眞之 (国際温泉研究院)
古田 靖志 (岐阜聖徳学園大学)
山田    等(聖徳大学兼任)
吉野 妙子 (山形県温泉協会)
監事只野 公康 (妙見温泉振興会)
松崎 郁洋 (黒川温泉ふもと旅館)
幹事北出 恭子 (温泉家)
高橋 祐次  (東洋大学大学院)
樽井 由紀 (奈良女子大学)
萩原    豪 (高崎商科大学)

役員の改選は、2021(令和3)年11月28日開催の総会で承認されました。

〔歴代会長〕

初代会長 (名誉会長) 山村 順次 (千葉大学名誉教授) 故人
(2021年11月22日、逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。)

〔名誉会員〕

甘露寺 泰雄 (公益財団法人中央温泉研究所元専務理事)

中澤  敬 (前草津町長)

前田  勇 (立教大学名誉教授)

由佐 悠紀 (京都大学名誉教授)

長島 秀行 (東京理科大学名誉教授)


発起人

日本温泉地域学会設立発起人

2003(平成15)年5月11日

安達清治(大阪明浄大)、   天野清次(西山温泉)、    飯島裕一(信濃毎日新聞)、
飯出敏夫(温友社)、   飯山十四二(草津商工会)、   池永正人(長崎国際大)、
井沢頼子(熱海市起雲閣)、  石川理夫(温泉評論家)、  市川栄一(草津町役場)、
市川捷次(草津旅館組合)、  市原 実(長崎総合科学大) 、  内田由紀(旅行作家)、
浦 達雄(大阪明浄大)、    沖津弘良(ベルツ記念館) 、   音成克巳(阿蘇町医師)、
甲斐賢一(鉄輪温泉)、    菊地荘悦(東鳴子温泉)、   岸川多恵子(別府市民)、
君島俊克(千葉大院) 、    (故)河野正人(野沢温泉) 、  小林 浩(千葉県庁)、
小林裕和(JTB)、   小堀貴亮(別府大) 、 (故) 斉藤博邦(鹿教湯温泉) 、
佐々木信行(香川大)、     佐々木寿男(宮城県庁)、    佐藤和志(鶴の湯温泉) 、
篠藤明徳(別府大)、   下島康史(長崎国際大)、   首藤勝次(長湯温泉)、
ジュリー・ヌートバ(別府大)、  小胡日査(ソニー)、   関谷 忠(別府大)、
千寿健夫(別府地獄組合)、   高橋繁広(湯川温泉) 、    高橋 享(川渡温泉)、
高橋鵠子(別府聴潮閣)、   竹村節子(現代旅行研)、     只野公康(妙見温泉)、
田村 康(四万温泉)、 (故)辻内和七郎(箱根温泉供給)、  鶴田浩一郎(別府温泉)、
寺田 徹(日本温泉協会)、 利根川治夫(早稲田大)、   鳥海宗一郎(江戸川大)、
中澤 敬(草津町長)、   中尾 清(大阪明浄大) 、   中島美江(熱海市民)、
長島秀行(東京理科大)、  中村恭久(三朝観光協会)、  中村昭和(伊東温泉) 、
中山昭則(別府大)、   布山裕一(日本温泉協会)、   (故)野口冬人(現代旅行研)、
野本晃史(岡山商科大)、   浜田眞之(地熱)、    姫野由香(大分大)、
(故)深澤喜延(山梨県庁)、 福田信夫(草津町役場)、  古田靖志(岐阜県博物館)、
松崎郁洋(黒川温泉)、   宮崎範一(草津観光協会)、   森 繁哉(東北芸術工科大)
八岩まどか(温泉研究家)、  山口昭夫(草津温泉)、   山田美園(小谷温泉)、
(故)山村順次(千葉大)、 由佐悠紀(京都大)、   (故)横山秀夫(草津温泉)、
吉野妙子(山形県温泉協会)。

以上70名、50音順
(    )内は設立時の所属・肩書きなど。 ○○温泉は、当該温泉地の温泉旅館経営者


設立総会

日本温泉地域学会設立総会・第1回研究発表大会スケジュールとプログラム
開催温泉地:群馬県草津町草津温泉
協賛:群馬県草津町
開催日:平成15年5月11日(日)~12日(月)
会場:草津温泉・ホテルヴィレッジ〔TEL:0279(88)3232〕
受付開始:5月11日(日)11:00~
参加費:一般会員2,O00円、学生会員l,O00円、草津町民外一般参加者2,O00円

5月11日(日)
11:30~12:30 学会設立準備委員会
12:30~13:20 昼休み
13:20~14:00 学会設立総会
14:10~17:30 草津温泉視察会
         (白根山ロープウエー・湯釜・温泉資料館・湯畑・ 熱の湯湯もみ)
17:30~18:30 休憩
18:30~20:00  懇親会(ホテルヴィレッジ)

5月12日(月) 〔自由論題〕発表時間:20分(発表15分、質疑5分)
8:40~10:00  自由論題研究発表4件(1件発表時間20分)
10:00~10:20 休憩
10:20~12:00 自由論題研究発表5件
12:00~13:00 昼休み
13:00~13:30 基調講演?「草津温泉の地域的特性と今後の方向」
13:30~14:00 基調講演?「草津温泉の地域振興策」
14:00~14:20 休憩
14:20~15:50 シンポジウム「草津温泉における景観整備の現状と課題」

研究発表大会プログラム
5月12日(月)
座長:浜田眞之(地熱)
8:40~ 9:00 利根川治夫(早稲田大)草津温泉の郷土史家・中沢晃三氏の業績
9:00~ 9:20 大久保あかね(立教大)温泉地における日本旅館の成立過程
9:20~ 9:40 中山昭則(別府大)大正期における別府温泉の別荘分譲について
9:40~10:00 浦達雄(大阪明浄大)別府温泉郷における街づくりの動向
10:00~10:20 休憩
座長:布山裕一(日本温泉協会)
10:20~10:40 中尾清(大阪明浄大)神戸市観光行政と有馬温泉の活性化
10:40~11:00 岩田智・宮井久男・芝田耕太郎(岩手県立大)鶯宿温泉に関する統計的分析
11:00~11:20 小堀貴亮(別府大)大分県湯平温泉における湯治客の実態
11:20~11:40 菊地荘悦(東鳴子温泉まるみや)鳴子温泉郷の「温泉療養プラン」
11:40~12:00 古田靖志(岐阜県博物館)温泉利用者向けの「泉質の表記」に関する一考察
12:00~13:00 昼休み
〔基調講演〕
司会:長島秀行(東京理科大)
13:00~13:30 山村順次(千葉大学教授)草津温泉の地域的特性と今後の方向
13:30~14:00 中澤敬(草津町長)草津温泉の地域振興策
14:00~14:20 休憩
〔シンポジウム〕
14:20~15:50 「草津温泉における景観整備の現状と課題」
コーディネーター:石川理夫(温泉評論家)
パネラー:市原実(長崎総合科学大学教授)
〃  首藤勝次(長湯温泉大丸旅館社長)
〃  山口昭夫(草津町民・自然公園指導員)